SST『 ３つのリンゴ 』

みんなには、夢ってありますか？

将来こんな人になりたいとか、やりたいお仕事ってあるでしょうか？

「バスケットボール選手になりたい！」

「エンジェルスに入って大谷翔平とプレイしたい！」

「ママ守りたい。」

夢をかなえるためには

お勉強する？

今から頑張る？

さぁ今日は、みんなと同じように夢を持ったリンゴのお話をします。

『 ３つのリンゴ 』

海を見下ろす丘の上にリンゴの木がありました。

ある日、リンゴの木に３つの実がなりました。

一番赤いリンゴが言いました。

「わたし絵のモデルになりたいわ。」

一番丸いリンゴが言いました。

「ボクはリンゴ飴になるんだ。」

一番大きなリンゴが言いました。

「ボクはお父さんになりたいな。」

ある日村人がやってきて言いました。

「このリンゴで甘くておいしいジュースを作ろう。」

でも３つのリンゴは言いました。

「ジュースも素敵だけど、ボクたちには夢がある。」

ある風の強い日のこと、3つのリンゴは木をブンブン揺すり、勢いよくちぎれて木から離れていきました。

丘をコロコロ転がってついたところは港でした。

「おや。きれいなリンゴが落ちているぞ。家で待っている家族のお土産にしよう。」

3つのリンゴは船乗りさんに拾われ、船に乗りました。

船に乗ってゆらゆらゆら。

３つのリンゴが甲板に出て太陽の光を浴びていると、

「コカーコカー！」

と黒いカモメがやってきました。

「うまそうなリンゴだな。ちょっとつついてやろうか。」

狙っているのは、真っ赤なリンゴです。

怯えている真っ赤なリンゴを見て、大きなリンゴは思いました。

「真っ赤なリンゴは絵のモデルになりたいんだ。つつかれて、穴でも空いたら大変だ。」

そう思いつくなり、大きなリンゴはカモメの前に立ちはだかり、真っ赤なリンゴを守ってあげました。

盾になった大きなリンゴには、ポツポツと穴が空いてしまいましたが、大きなリンゴはニコニコしていました。

３つのリンゴが貨物室で休んでいる時、嵐で船が大きく揺れました。

丸いリンゴはコロコロコロコロ転がってしまいます。

「丸いリンゴはリンゴ飴になりたいんだ。ぶつかって傷んだら大変だ。」

そう思った大きなリンゴは、転がる丸いリンゴを包み込み、迫りくる壁や貨物から守ってあげました。

クッションになった大きなリンゴは、あちこちぶつけて傷んでしまいましたが、それでもニコニコしていました。

疲れていた3つのりんごは、船底でぐっすり眠りました。

ピチャンピチャン。3つのリンゴが目を覚ますとなんだか様子が変です。

おやまぁ、船の底には穴が開いていました。

３つのりんごはびっくりして大声を上げましたが、もちろん人間には聞こえません。

このままだと船が沈んでしまいます。

大きなリンゴは勇気を出して言いました。

「ボクがみんなを助けるぞ。」

大きなリンゴはところりと転がり、自分の体で穴を塞ぎました。

赤いリンゴと丸いリンゴは心配しましたが、大きなリンゴは一晩中がんばり続けました。

そして次の日の朝、船は無事に港に着きました。

船乗りさんは家に3つのリンゴを家に持って帰りました。

船乗りさんの子どもたちはリンゴの絵を描きました。

赤いリンゴの夢が叶いました。

船乗りさんの奥さんは丸いリンゴでリンゴ飴をつくりました。

丸いリンゴの夢も叶いました。

でも大きなリンゴは腐り始めていたのでゴミ箱へ…。

すると船乗りさんは「このリンゴは船に空いた穴になぜだかすっぽり挟まっていたんだ。」と、大事そうに拾って庭に埋めました。

長い長い年月が経ちました。

道行く人が船乗りさんに「おいしそうなリンゴが実っていますね。」と話しかけました。

「腐ったりんごを土に埋めたら立派な木に育ったんです。」

今年初めて実がなりました。

あの大きなリンゴの夢も叶ったのでした。

大きなリンゴの子ども達は、お父さんがどんなに立派だったのか、今日もお話しながらニコニコ笑って実っています。

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このお話を聞いて、みんなはどう思ったでしょう？

「大きなリンゴは偉かった。」

「みんなの夢が叶って良かった。」

３つのリンゴは、それぞれみんな夢を叶えました。

夢はしっかりと持っていれば、叶えることができるんです。

みんなも、たとえ小さな願いでも、夢を持ちましょうね◎

だけど大きなリンゴを見てみましょう。

自分のことは勘定に入れず、他人のために行動しました。

誰かのためになったり、人に幸せをもたらす行いは、夢を叶えるのと同じくらい素晴らしいことです。

その結果夢が叶ったとしても、叶わなかったとしても、

大きなリンゴが立派だったことは、誰から見ても明らかです。