SST『 心を映す鏡 』
- moshimoshisapporo
- 2021年11月17日
- 読了時間: 3分
むかしむかし あるところに
働き者の女の子、松村さんがいました。

松村さんのお家は貧しく、お母さんは病気がちでしたので、
松村さんはお家のことを助けようともしもしで働いていました。
ある日のこと、もしもしに1人の旅人が訪ねてきて、
「道に迷い何日も食べていないので、何か食べ物をめぐんでくれませんか?」
とたのみました。

しかし志賀さんは
「ダメです!あげるものは何もありません!」
と、冷たく追い返してしまいました。
それを見ていた松村さんは、かわいそうに思い、旅人を追いかけていき
自分の少ないご飯で作ったおにぎりをこっそり渡しました。

旅人はとてもよろこんで、
「お礼にこれをあげます。」
と、小さな鏡をくれました。

松村さんはお礼を言って、ポケットの中に鏡を入れて仕事に戻りました。
やがてもしもしが終わり、片付けが始まると、松村さんは鏡のことをすっかり忘れてしまいました。
そして洗いものを始めた時、鏡を汚れたボウルの中にうっかり落としてしまいました。
落ちた鏡を覗き込むと、鏡はまぶしく光り始めました。

その光を浴びると、ボウルだけではなく、
コップやシンク、壁や天井まで、全てピカピカになりました。
近くにいた谷口さんは、その様子を見て驚きました。
「松村さん、すごいね!その鏡なぁに?みんなきれいになっちゃったよ!」
谷口さんは鏡の素晴らしさを褒め称えて、それは志賀さんの耳にも入りました。

その話を聞いた志賀さんは、
「そんなの松村さんにはもったいない!僕が使ったならもっとキレイになるよ。このもしもしぜーんぶキレイになっちゃうかも!」
そう言うと、ドカドカと松村さんのとこへやってきて、持っていた鏡を取り上げました。
そしてまたドカドカとお勉強部屋に入ると、ニヤニヤと鏡を覗き込みました。
「ふふふ。さぁ、どうだ?美しい志賀さんに相応しく、この部屋をもっとキレイにしなさい!あの小汚い松村さんと違って僕は一番エラいんだからね!」
するとどうしたことでしょう。
志賀さんを写した鏡は黒く濁りはじめました。

「ぎゃーー!何だこれは⁈」
天井はムカデや毒虫だらけ
壁はカビでいっぱいになり、腐ったような匂いが部屋いっぱいに広がりました。
欲が深くてきたない志賀さんの心のままに、
醜い世界が現れました。
志賀さんはカンカンに怒って、松村さんを呼びつけると
「この鏡を持ってすぐに出ていきなさい!」
と言いました。
松村さんは追い出されることになりました。
松村さんは鏡だけを手に持ち、家に帰りました。
松村さんのお母さんは、松村さんが追い出されたことを知り、
「カオリ、気にすることはないよ。私たちはいつでも思いやりがあってやさしいカオリのことを信じているからね。どんなに貧乏だって構わないから。」
すると突然、鏡から光が広がり、美しい花園に囲まれたのです。

その花園は日本中で評判となり、ヒカキンもやってきてブンブンyoutubeを撮影し、

そして収益の半分を松村さんにくれました。

こうして松村さん親子は、美しい花園でなに不自由なく幸せに暮らしましたとさ。
おしまい
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この『 心を映す鏡 』というお話を通して、
子ども達は何を感じてくれたでしょう?
「松村さんは、どうして鏡をもらったのかな?」
「おにぎりをあげたからー◎」
「松村さんの鏡はどうしてキレイに光ったのかな?」
「鏡を落としたからー◎」
「それじゃー、志賀さんの鏡が真っ黒に濁っちゃったのはなぜかな?」
「悪いから。」
「人使いが荒くて、意地悪で、言葉遣いも汚くて、心が醜いから。」

それでは、最後の質問。
「それじゃー、みんなが鏡を使ったらキレイな光が出ると思う?」

心の中が汚れた時は、自分が一番よくわかっていると思います。
わたしたちは、みんなの鏡もキレイに光ると信じていますよ ☺︎
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